
2025年11月。叔母は82歳になり、叔母の愛犬は13歳になりました。独居の叔母は、昨年認知症の診断を受けましたが、身体介護はない為、自宅で一人暮らしをしながら犬の世話をしています。しかし、いよいよ色々と日常生活に弊害が出てきました。高齢者が犬を飼うことの【プラスとマイナスの要素】を考えてみました。
高齢になってから突然飼い始めた小型室内犬
ある日突然、叔母から電話がありました。
「マルチーズを飼うことになったのよ!何が要るか教えて〜」と。
それまで4匹の犬の飼育経験はあった叔母夫婦でしたが、長年、屋外飼育の犬ばかりでしたので、久しぶりの室内犬の飼育で「わからない事がある」と、室内犬を飼っている私に電話して来たのです。
実はそれまでの間、叔母たちが最後に飼っていた犬の事で、叔母夫婦は私のことが気にいらない!と勝手に腹を立て、連絡を向こう側から絶っていました。(母にはしょっちゅう連絡してきていましたが)。
しかし、それを忘れた?突然の連絡で、今から7年前(2018年)、その時義叔父が85歳、叔母は75歳になっていました。
「え!なんで今頃から?!お世話出来るの?!」
とビックリ。もちろん私だけでなく、妹も母も大反対!飼い始めるにはあまりに高齢すぎます!しかも義叔父は持病が段々と悪化し、入退院を繰り返している時期だったからです。
しかし、叔母は「おっちゃんがボケてきたから、話し相手になるから!」という安易な理由で、事情があり飼えなくなった方から、ペットショップを介して、6歳の犬を貰ってきた、ということでした😰(事後報告)
本来叔母は犬が好きな人でしたが、義叔父が高齢になって商売を縮小して以降は「夫婦で旅行を楽しみたい」と、ここ15年ほどは犬は飼っていなかったのですが…。「私が世話をするんやから、あんたらに世話はかけない!」と言い、半ば強引に飼い始めたのでした💦
犬が来てから3年後に義叔父は亡くなりましたが、結局、最後の最後までこの犬が、義叔父に懐くことはありませんでした…。
そして、叔母と犬の2人暮らしが始まりまったのです…。
犬を飼っていてよかったこと(プラス要素)
犬を飼い始めた後に義叔父が亡くなり、独居飼育になった叔母でしたが、現在(2025年)は【要支援1】が付くも、身体介護は一切ない為、犬と自宅で暮らしています。そんな叔母を見ていて「犬を飼っていて良かったな」と思うことは
①時間の見当識が保てている
②犬の散歩が軽い運動になる
③犬が話し相手になる
④犬のために健康に気をつけるようになる
の、4つが【犬を飼っていて良かった】と思ったことです。
①は独居であっても、決まった時間に起きて、決まった時間に寝る習慣が、義叔父が亡くなった後も、続けられていて、時間の感覚がほぼ保たれていることです。
叔母は犬に【朝7時に朝御飯、夕方4時に晩御飯】をやります。その為に、朝は5時に起き、家の用事を済ませて、犬に餌をやり、7時半には散歩に出かけます。そして、日中外出していても、夕方4時頃には必ず家に帰り、犬に餌をやってから、4時半から散歩に出かけます。
犬がいるからこそ、規則正しい生活が保てていて、体内時計もきちんと合っているように思います。犬がいなければ、もしかすると叔母は時計を見ることも忘れてしまっていたのではないかな?と思います。
高齢者の独居において【規則正しい生活を送ること】は、生活全般のQOL向上につながります。これは周りの人や家族が言ってもなかなか出来ないことです💦なので、これは【犬がいてくれてるおかげだなー】と思っています。
②は朝夕の犬の散歩が、叔母の最低限の基礎体力を維持してくれているように思います。自分では「体操にも行き、ヨガも行ってる」と言いますが、実際の叔母の足には筋肉がほとんどなく、私との買い物や行楽では、少し歩くだけで「しんどいしんどい」を連発し、休み休みでしか歩けません。(なので単に【行ってる】だけで、効果が出るほどは【出来てない、やってない】かと…)
そんな叔母ですが、犬の散歩だけは毎日欠かさずに行き、距離はさほど長くありませんが、犬の散歩による【歩く機会】が継続できているので、足の最低限の筋肉が維持出来ているように思います。(この年になると関節を動かすことも大事なので)
車を降りた後も(昨年末にようやく運転免許失効)、叔母が長距離の自転車移動が出来ているのは、このおかげではないかと考えています。
③独居の叔母ですが、友達は少なく、電話する相手は母しかいません。なので母が電話の相手が出来ない日は、全く言葉を発しない日も💦しかし、犬がいることで「おはよう」や「散歩に行こうか〜」と、よく犬に話しかけています。普段は険しい顔であれこれ文句しか言わない叔母ですが、犬と話す時はにこやかな笑顔も見られるので、犬が叔母の心を落ち着かせてくれているな…と思っています。
④2021年に首の病気で3ヶ月入院した叔母ですが、その際に犬と離れた生活を送りました。(その間犬はわが家で預かりました)
その時から「犬のためにも私が健康でいなきゃ!」と思う様になってくれ、生活習慣や食べ物にも気をつけるようになってくれました。それまで、食事の内容や栄養素に気をつけるという意識は全く持っていなかった叔母でした。高齢期でもありますから、それらに自覚を持ってくれたことはとても良かったなと思っています。
犬を飼うことによる大変なこと(マイナス要素)
高齢者が犬を飼っているということでは、良いことだけでなく、もちろんそれらよりも重大な【困ったこと】があります💦
①叔母が入院した時の犬の預かり先
②犬の急病時の対応
③犬の通院
④旅行に行けない
⑤介護施設に入所出来ない
⑥自宅に他人が入れない
⑦養育費が必要
⑧散歩や定期的な運動が必要
⑨終生飼育が出来るかどうか
①では、過去に叔母が3ヶ月の入院をすることがありました。最初は検査入院の予定だったので、動物病院で預かって貰っていましたが、検査の結果、3ヶ月の入院をすることになり、結局犬は我が家で預かることになりました。当時、我が家には1匹犬がいましたが、多頭飼育の経験があったので、主人や子どもたちの協力を得て、預かることができました。(うちの犬もかなり迷惑そうでしたが)
しかし、普通はそう簡単に3ヶ月もの預かりをできる家庭は少ないと思われます。このように、もし飼い主に何かあった際、【犬の長期預かり先ををどうするか?】を事前に決めておかなければ、飼育は難しいと思います。(犬のホテル代もなかなか高額になりますので)
②は、頻度は少ないかもしれませんが、もしもの「犬の急病の時にはどのようにするか?」を事前に決めておく必要があると思います。
実際にうちの叔母は、1人で飼育し始めてすぐにこの事態に遭遇(叔母の不注意から玉ねぎを食べさせてしまった)。その時は叔母は自分で車を運転し、夜中に片道30分かかる夜間救急病院に行ったことが後から判明しました😱
「夜中やったから」と私には連絡せず、1人で連れて行っていたのでした(事後報告)。今後は必ず私に連絡するように!と言っていますが、もし叔母が事故でも起こしていたら大変な事に!本当に無事で良かったと胸を撫で下ろしました…(当時叔母は78歳)
叔母のように「他人に迷惑をかけたくない」と思う人は、緊急時であっても連絡をしてこない事が考えられます。【自分の身体の事なら頼れるが「犬のことまで」は】と、隠すことで、余計に危険度が増してしまうことも考えないといけないなと感じました。なので急病時には誰に連絡するか?の話を事前にしておかないといけないなと思いました。
③についても、かかりつけの動物病院が徒歩圏にある場合は高齢者ひとりでも何とか大丈夫かな?と思うのですが、叔母の場合、昔からあちこちの動物病院でトラブルを起こした可能性があり、今のかかりつけの動物病院は、ふた駅向こうにあります。(近所に何軒もありながら)
なので受診が必要な予防接種や健康診断、定期検診には私が車を出し送迎しています。犬の持病の薬については、なくなる頃に病院に電話し、宅急便で送ってもらっています。
④旅行に行けないことも覚悟が必要です。【犬と一緒に泊まれる宿】の利用であれば可能ですが、利用規約などのルールをきちんと守れるかどうかを事前に調べておく必要があります。ペット同伴可の宿には、部屋の使い方、共有スペースの使い方、留守番、排泄についてなど、そこそこ厳しいルールがあります。無駄吠えやトイレの躾けなどが出来ていない犬の場合、利用が難しいのが現状です。
また、旅行期間にペットホテルを利用する場合、旅行出発日の前日に預けに行き、旅行から帰った翌日に迎えに行くパターンになるかと思います。なので、旅行予定日+2日の宿泊となります。(旅行は1泊2日でも、犬を預けるのは3泊4日に)長期のホテル滞在は犬にはかなりの精神的負担を生じますから、家族等に預けられないか?などの検討も必要かと思います。うちの叔母は結局、犬を飼い始めてからは宿泊を伴う旅行には行けていません。
⑤介護施設にも犬がいると入れない場合が多くなっています。大阪には【ペットと入居出来る有料介護付き老人ホーム】がありますが、やはり基本的なしつけが出来ていないと入居は難しいと思われます。また費用的にはかなり高い入居費がかかります。施設全館でペット入居可能な施設は大変少ないのが現状です。以前、叔母と見学に行った中には【同伴で入居はできるが一部の指定された部屋のみ】と、そこが埋まれば入れない、という施設がありました。また入居出来るとしても、介護度が【自立】(または要支援まで)でないと、入居出来ないケースが多いと思います。
これらを検討した結果、叔母は【犬の看取りが終わってから施設に入る】となりました。
⑥高齢者と犬だけで暮らしている場合、犬が【犬の社会性】を学ぶ機会がないまま人間のみと接して暮らしていることで、【自分も人間と同等】と思っている犬も少なくありません。そのため家族以外には懐かず攻撃的になり、緊急時に他人が家に上がれない(噛み付く、飛びかかる、吠え回る)ケースもありますので、社会性を身につけるようしつける必要があります。
叔母の犬も私が3ヶ月預かった際にしつけを入れ直したのですが(うちの犬にも協力してもらい)、叔母宅に戻るとすぐに元の攻撃的な犬に戻ってしまいました😰
⑦犬と暮らすとそれなりの金銭負担がかかってきます。毎日のご飯代だけでなく、定期的な健康維持の為の費用が必要になります。犬の場合、春〜秋間にフィラリア病予防薬の服薬が必要で、その他にも年に2回の予防接種(狂犬病と感染症)が必要です。
それ以外にもトイレシーツやおむつが必要な場合もありますし、犬種によれば毎月散髪代が必要な犬も。体が汚れると定期的な洗体も必要です。(自宅で洗うにも結構大変です💦)散髪の要らない小型犬の場合でも、最低でも年に5〜6万円はかかると言われています。(この養育費関連が叔母の動物病院とのトラブルの要因となっているようです💦)
叔母は持ち家で暮らしていて、年金も生活に困るほど少なくはないので、犬の養育費は今のところ問題ありませんが、年金額が少ない方には、犬の養育費はかなりの負担となる事もあるのでは?と思います。
⑧犬の場合、散歩や運動が必要になります。【高齢者の散歩に付き合ってくれる良きパートナー】になってくれる犬ですが、逆に高齢者が体調不良の時にも、犬に散歩や運動は必要です。雨やたまの体調不良で「今日はなし」とするのは問題ありませんが、長く続けばストレスが溜まり、何かの弊害(物を壊す、粗相をするなど)を起こしたりする可能性があります。犬種により必要な運動量はかなり違ってきますので、飼育を始める際には、可愛いだけでなく、今の生活環境に合った犬種かどうか?の選定もとても大切なことだと思います。
また、しつけをしっかりしていない場合、犬が取るとっさの行動により、飼い主が転倒したり、また通行人にケガをさせるなどの事故を招く恐れもあります。これについてのリスク管理も必要です。(傷害保険に入るなど)
⑨やはり犬を飼う以上、【終生飼育】は絶対に守るべきルールだと思います。飼い始める際には「必ずこの犬の看取りまで責任を持てるか?」を考えて欲しい。何かあっても「どうにかなるだろう」という行き当たりばったりな考えでは、万が一の際に、飼い主も犬にもつらい選択をしなければならなくなる事もあります。犬は命ある生き物ですから、飼育すると決めた際には、必ず終生飼育の責任を果たして欲しいと願います。
終生飼育ができないと想定する時には、【飼わない選択】も、ぜひしていただきたいと思います。
医療やフードの質の向上から、小型犬では12〜15歳まで生きる犬が増えています。犬の方が飼い主よりも長生きしてしまうような場合は、飼わない選択をするか、家族の協力を得れるのであれば、高齢の保護犬をもらい受けるなど、必ず犬の終生を考えての飼育をして欲しいと思います。
周囲のフォローがないと高齢者のペット飼育は困難
同居や近くにフォローが出来る家族がいない場合は、やはり高齢者の犬(ペット全般)の飼育は難しいと考えます。犬だけでなく猫や鳥、金魚等であっても同様です。本人が「自分で自分のお世話をするのも大変」と思う年齢になったその時は、ペットを飼育するのは難しいと考えた方が良いでしょう。たとえ同居や近くに家族が住んでいたとしても、【犬を飼うということ】は、健康な人にとっても、とても大変なことです。最初から【家族をあてにする】ようであれば、飼育は無理だと考えるべきでしょう。家族さんには家族さんの生活があります。そこに犬のお世話まで加わるとなれば、大変になる方も多いと思います。
ペットは物ではなく、ひとつの命ですから、自分できちんと責任を果たすことが無理なのであれば、安易に飼ってはいけないのです。
犬も高齢になれば、たとえしつけが入っていても、粗相をしてしまうこともあるでしょう。敷物や座布団など汚してしまえば、それらの大物洗濯などは重労働です。高齢犬になれば、犬にも介護が必要になる場合もあります。【老人老犬介護】が本当に出来るのかどうかも考えなければなりません。
私の母の飼う猫は、晩年腎臓病を患い、がんにもなりました。看取るまでの2年間は、値段の高い腎臓病用フード(1kgあたり4000円)を与え、毎月の投薬(抗がん剤)や点滴などの治療は、3万円以上かかっていました。
しかし、それでも愛情を持って飼い、命あるまで世話をすることが【ペットを飼った者の責任】だとして頑張ってくれています。(もう1匹を飼育中)
もし、高齢者の方が過去に犬や猫を飼っていて「懐かしい、可愛い、触れ合いたい」と思うのであれば、今は都心部などに【保護犬カフェ】や【猫カフェ】など、会いに行って触れ合うことも出来ますので、体調の良い時にその様なカフェに出かけてみるのも癒しになると思います。
一番避けたいのは「可哀想だから」と、捨て猫を拾ってきたり、ペットショップなどで売れ残り犬を買ってきたりなど、一時的な感情だけで突発的に飼育を始めることがない様にして頂けたらと思います。我が家の愛犬も保護犬カフェから譲り受けています。【保護犬カフェに犬に会いに行く】は、その飲食代が寄付にもなります。
もし、高齢者が犬を飼いたい!となった場合には、その大変さや責任の重さをご家族で今一度検討し、全ての問題がクリアとなった時に、新しい家族としての犬(ペット)を迎えて欲しいなと思います。