叔母が昨年までは「81歳の誕生日の運転免許の更新はやめる」と約束していたのに、今年の6月に運転免許の更新案内書が手元に届くと「やっぱり免許は更新する!」と言い始めました。そのことをきっかけに叔母の身の回りを確認すると、日常生活にも色々と支障をきたし始めていることが判明。いよいよ「運転免許の更新は絶対にさせられない!」と決心しました。
日常生活にも支障をきたし始めた
2024年の6月に、11月で誕生日を迎える叔母あてに運転免許の更新講習の案内が届きました。叔母は次の誕生日で81歳。75歳以上の高齢者ドライバーに義務付けられている【高齢者更新講習】についての案内です。その前月の5月には「次の免許の更新はもうやめる」と言っていたのに、たったの数日で、自分の言ったことを全く覚えていなかった叔母。「やっぱり免許は更新する!こんなへんぴな場所で、車なしでは生活できない!後3年は乗る!」と物凄い剣幕で母に電話してきました。
実はその頃、運転免許の件だけではなく、普段の日常生活の中でも、色々とおかしなことが増えていました。今日はこうすると言っていたのに、次の日になれば「そんなこと、私は言ってない!」と言うような事が続いていました。それらはすべて【認知症によるものでは?】と思うものばかりでした。
その頃、まだ叔母の【車の運転の技術的なもの】には問題は見られませんでしたが、日常の記憶に対してあやふやな事が増えてきてしまうと、そうも言っていられなくなりました。
私は毎週叔母宅を訪問する度に、叔母の車の車体の回りを確認。バンパーやタイヤホイールなど足回りの傷についても点検するようにしました。
そしてたまに叔母に運転をしてもらって、私は助手席に乗り病院へ。そうして技術面も時々チェックしました。車間距離やウインカーを出すタイミング、左折右折時の安全確認やブレーキの使い方も確認。狭い枠の駐車場でも、ほぼ切り返りなしで停めることが出来ていました。
しかし、だからといってこのまま運転免許を更新させる訳にはいきません。更新すれば叔母はきっとまた、3年間乗り続けると言うに違いありません。そうなれば今回以上に「危なくなって来たからもう降りて」とお願いしても「絶対に降りない!」と、頑なに免許を手放さないでしょう。
なので、いくら今、車の運転に問題がなくても、運転に自信があると言っても、この先絶対に事故を起こさないという保証はありません。判断能力や反射神経は、年々格段に衰えていきます。80歳を超えた今、日常生活での記憶も怪しい状態ですから、脳の機能の衰えは確実に来ています。そうなれば、いつ事故を起こしてもおかしくないのです。
このまま叔母に車の運転をさせてはいけない、運転免許の更新は絶対に阻止しなくては!と強く思うようになりました。
セルフスタンドで1人で給油が出来なかった
ある日、病院の診察に同行した叔母の運転での帰り道。セルフのガソリンスタンドで給油して帰ろうとなりました。叔母の自宅近くの「いつもここで給油してる」というガソリンスタンドに寄りました。すると叔母が車を降りてから、一向に給油をしようとしないのです。「どうしたん?」と尋ねると、「いつもはスタンドの人にやって貰うから、やり方が解らん」と言うのです。
給油用のポイントカードは手にしているものの、給油機の画面モニターの案内は全く解らないようでした。仕方なく私が変わって給油すると叔母は「いつも居てるおっちゃんが、今日はおらんわ」と。「いつもやって貰うの?」と聞くと「画面がややこしいから、どれ押したらいいか解らんからやって貰う」と言っていました。
その時初めて叔母が1人で給油出来なくなっていることを知りました。これでますます【免許を更新させてはいけない】という思いが強くなりました。
まずは認知症の診断を受けることから
叔母の運転免許の更新を姪の私が阻止するには、まずは【乗らせてはいけない正式な理由】が訴える際に必要になるのでは?と考えました。同居もしていないし、実子でもないし、いきなり「免許証を渡さないでください」と訴えても、認めてもらえないのではと思いました。
そうなれば【病院での診断が必要になるのではいか?】と考えました。警察や役場に訴えに行くにしても、叔母が認知症かどうか?を正式に診断してもらう必要があると考えました。
しかしこの頃、日常生活の中で【記憶が数日しか保たない】ことが増えてきた叔母でしたが、それを指摘する私や母に対する【介入拒否】も現れ始め、認知症という言葉に対しても、敏感に反応するようになりました。
他人の認知症の症状に対しては「絶対におかしいわ!あの人」と言うのに「自分は絶対に違う!」と自信満々に言い切りました。
免許返納の足がかりとするためにも、認知症の診断を受けてもらわなくては、と【もの忘れ外来の受診】を話題に出してみるも、叔母は強い拒否反応を示し、大変苦労しました。結局、免許の更新の書類が送られて来てから、脳神経外科での受診するまでには、2ヶ月の時間を要しました。ここまでたどり着くにも、母やかかりつけ医、包括支援センターの職員さんなど、多くの人の協力を得て、なんとか受診予約にこぎつけました。これで診断がつけば、診断書の作成をお願いすることができます。
そして初診日当日。かかりつけ医からの紹介で、やっとの思いで脳神経外科を受診し、初回受診日に【認知症】と【高齢者てんかん】の診断がついたのです。その時私は
「これでようやく叔母の運転免許の更新を阻止することが出来る!」と喜びました!しかしそれも一瞬の束の間。
そう簡単には、叔母の運転免許の更新を阻止することはできなかったのです…。